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【介護選び】認知症を諦めない覚悟

【末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
文末附有中文、泰文和英文翻译
ส่วนท้ายมีการแปลเป็นภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษ
Translations in Chinese, Thai, and English are provided at the end.

認知症を諦めない覚悟――介護選びに必要な視点とは?
本日は「介護選び~認知症を諦めない覚悟~」というテーマでお話ししたいと思います。

日本の介護は、身体介護から始まりました。
体が動かなくなった高齢者の支援をすることが介護の主流でしたが、やがてアルツハイマー型認知症の方々が増えていく中で、認知症に特化した支援の必要性が高まっていきました。その流れの中で生まれたのが、認知症高齢者専用のグループホームや、特別養護老人ホーム(特養)のユニット型個室です。

これは単なる「贅沢」ではなく、「認知症を諦めない」という政策の表れだったのです。当時の介護制度は、認知症の方々に対して希望を持つというより、「もうどうしようもない」と諦めの空気が漂っていた時代でもありました。
しかし、そこに光を当てようとしたのが、認知症対応型グループホームやユニット型特養への政策転換だったのです。

昔は精神科の病棟に認知症の高齢者が入院しているケースが多く見られました。ですが、医療よりも生活を支える「介護」の分野へと移行していく中で、認知症の方々が安心して暮らせる居場所づくりが進められてきました。

この背景には「個別介護」の考え方があります。つまり、ひとり一人に合わせた支援です。
海外では「パーソンセンタードケア」という言葉で知られています。日本でも高齢社会を迎える中で、認知症という新たな課題に向き合いながら、サービスの形が模索されてきたのです。

しかし、まだ「わからない」「どうしていいかわからない」と戸惑っている国や家庭も多いのが現状です。
とくに、認知症の親を抱える家族の不安は計り知れません。「我慢するしかない」「仕方がない」と思ってしまいがちですが、私はそうは思いません。

大切なのは、「認知症を諦めない」という覚悟を持つことです。実際に、環境や接し方を変えるだけで、表情や行動が穏やかになる方はたくさんいらっしゃいます。例えば、広い食堂で30人40人が一斉に食事をするような環境では、記憶障害を抱えた方が落ち着いて自分の席に座るのはとても難しいのです。だからこそ、空間を小さく、家庭的な雰囲気にしていく取り組みが始まったのです。

また、職員が毎日変わるような体制では、安心感を得るのは難しいですよね。
認知症の方は非常に繊細で、環境や接する人の態度、時間帯によっても状態が変化します。たとえば朝の9時、食事が終わって職員がバタバタしている時間帯に、不安を訴えるような言動が出る方がいます。

これは「その人の人格」ではなく、「その時間帯の環境」が原因かもしれません。

つまり、混乱を起こしている「原因」は、外的な要素にある可能性が高いのです。そうであるならば、私たちの接し方や環境を見直すことで、認知症ケアの質は大きく変わるはずです。

私自身も、施設での困難事例をケーススタディとして検討し、「この時間はこうしてみよう」「この環境なら落ち着いた」という成功体験を積み重ねてきました。その繰り返しの中で、改善の道筋が見えてきたのです。

もちろん、すべての認知症が完治するわけではありません。
しかし「この人の笑顔を取り戻すために何ができるか」を考え続けること、それが認知症ケアにおける大切な姿勢だと私は思います。

そして、認知症を理解する上で避けて通れないのが「脳」の知識です。記憶には短期記憶と長期記憶があり、それぞれ脳の異なる部位で管理されています。
見当識障害(時間・場所・人が分からなくなる症状)への対応も、脳科学の理解があると視点が変わってきます。

たとえば、薬の副作用で混乱している場合もありますし、私たちの声のトーンや言葉遣い、距離感が混乱を招いていることもあります。つまり、認知症の方の症状を「その人のせい」にするのではなく、「私たちにできることは何か」と考えることが、何より大事なのです。

今後、私の介護教育プログラムを日本語から中国語・タイ語・英語へと翻訳し、日本の認知症介護の経験を、アジアの国々へ届けていく予定です。
まだ認知症に対して「わからない」「諦めている」という国や地域に、私たちの経験と知恵を伝えたいと思っています。

認知症を諦めるということは、未来の自分をも諦めることにつながります。だからこそ、今から準備を始めましょう。日本の介護が完璧とは言えないかもしれませんが、そこにある「諦めない覚悟」は、きっと他国のモデルになれると私は信じています。

今日も素晴らしい一日をお過ごしください。

↓↓↓この記事の詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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