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【WAC中央駅朝ライブ0105 要約】


介護のレイヤー 〜日常の当たり前へ戻るために

1月5日の朝、隅田川のほとりから配信された「WAC中央駅朝ライブ」は、「行きづく朝」をテーマに、介護と呼吸、そして日常へ戻るための視点を静かに掘り下げる時間となった。年が明けてまだ数日、寒さの残る朝の空気の中で、介護という営みをあらためて整理し直そうという試みである。

利久は日々、朝のウォーキングを通して呼吸に意識を向けている。朝日を浴びながら歩き、身体の感覚と対話し、AI(ChatGPT)とも思考を重ねながら気づきを言葉にしていく。その中で、ある当たり前に気づいた。それは「呼吸は季節や気候によって変わる」という事実である。寒い季節の呼吸と、暑く湿った季節の呼吸は明らかに違う。しかし、その違いはあまりにも当たり前すぎて、これまで深く語られてこなかった。

寒さの中での呼吸は、かつて雪山を歩いていた頃の記憶と重なる。冷え切った身体、吐く息で手を温めながら一歩ずつ進む感覚。呼吸を整えなければ前に進めないという体験。一方、暑い季節の呼吸は、空気の淀みや汗、だるさとともにあり、水分補給や環境調整が欠かせない。つまり呼吸は、常に環境と身体の関係性の中で変化している。

この気づきは、介護、とりわけ認知症介護の現場と強く結びついていく。従来、BPSD(行動・心理症状)への対応は、薬物療法や非薬物療法、接し方や環境調整、その人の記憶や背景理解といった方法で行われてきた。もちろん一定の効果はある。しかし、同じ説明を繰り返し、同じ対応をしても、うまくいかない場面がある。そこで利久は、さらに一段手前にあるものとして「呼吸」に注目した。

呼吸は、感情や行動の結果ではなく、それらを支える“OS(基盤)”ではないか。混乱、不安、介護抵抗、帰宅願望、甘いものへの欲求、物取られ妄想──それらの前段階に、呼吸の乱れがあるのではないか。そう考えたとき、介護は「統合」ではなく「レイヤー(重ね合わせ)」として捉え直す必要があると感じるようになった。

登山におけるレイヤリングと同じように、動いている時、休む時、寒い時で衣服を重ねたり外したりする。その考え方を介護にも応用する。脳、環境、食、地域、看取りといった要素の前に、「呼吸」という最も根源的なレイヤーがある。ここを整えることで、日常へ戻る道が見えやすくなるのではないか。

目指すのは「治す」ことではない。病気や認知症があっても、人として、自分らしい日常に戻ること。そのために、どのような思考を持ち、どのような技術を重ねていくのか。その問いが、教育や海外展開という次のステージにもつながっている。

最近利久は、空気や匂い、睡眠環境にも目を向けている。空気を整えることで呼吸が変わり、睡眠が変わり、集中力や心の状態が変わる。その体感を、言葉だけでなく、どう伝え、どう教育に落とし込むか。その一環として「介護の呼吸OS研究会」を立ち上げ、少人数での音声による呼吸調査も計画している。知りたいのは「匂いが消えたか」ではなく、「呼吸がどう変わったか」だ。

WAC中央駅という場は、学ぶ・使う・感じる・つながるという4つのホームを持つ情報の交差点である。人が行き交い、立ち止まり、振り返り、また歩き出す場所。朝ライブはその駅での小さな対話であり、「行きづく朝」へ向かうための一つの試みだ。

呼吸という当たり前を、もう一度当たり前として見つめ直す。そこから介護を、日常を、人生を組み立て直していく。
「ここから、これから。」
そんな静かなメッセージで、この朝のライブは締めくくられた。

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