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【尊厳Well-Kaigo】 ドーパミンを引き出す介護の工夫

【多言語ブログ/末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
【多语言博客/文末附有中文、泰文和英文翻译内容】
【บล็อกหลายภาษา/มีคำแปลภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษอยู่ท้ายบทความ】
【Multilingual Blog / Translations in Chinese, Thai, and English are included at the end of the article】

〜「予定」が生む脳の快楽と尊厳〜

脳科学と介護の接点から見えてくること
みなさん、おはようございます。今日は「ドーパミンを引き出す介護の工夫」について、脳科学の視点から考えてみたいと思います。

介護というと、「食事介助」や「入浴介助」といった身体的なケアが注目されがちですが、実は脳や心の働きに目を向けることが、尊厳ある介護を実現する鍵になるのです。

私たちの脳内には、ドーパミン、セロトニン、オキシトシンという三つの代表的な神経伝達物質があります。それぞれが「快楽」「幸福感」「愛情」といった心の動きに関係しており、このメカニズムを介護に活かすことで、より人間らしいケアが可能になります。

ドーパミンとは何か?
ドーパミンは「快楽物質」とも呼ばれ、達成感や意欲、満足感と深く関係しています。特に「予定していたことが実現したとき」に多く分泌されることが知られています。

たとえば「今日は魚の煮付けが出る」「午後は体操がある」といった、小さな“楽しみの予定”を伝えるだけでも、脳内にドーパミンが分泌され、「今日も一日がんばろう」という前向きな感情を生み出すのです。

高齢者にこそ「予定」を


高齢になると、社会的な役割が減り、日々の予定が曖昧になっていく方が多くなります。しかし、予定を立て、それを実行し、達成感を感じることは、人生の充実にとって不可欠なプロセスです。

私自身、毎朝起きて、歯を磨き、コーヒーを淹れ、ウォーキングをする、というルーティンを大切にしています。その中で朝日を浴びると、セロトニンが分泌され、「ああ、今日も一日が始まったな」と感じることができます。

この「予定→実行→達成感」というサイクルこそが、ドーパミンを自然に引き出してくれる脳の仕組みなのです。

大声を上げる高齢者への視点転換
認知症介護の現場では、大声を上げるなどのBPSD(行動・心理症状)への対応が課題となります。「静かにしてください」と言っても、根本的な解決にはなりません。

では、なぜその人は大声を上げるのでしょうか?

たとえば朝7時、特養のダイニングで「場所の見当障害」がある方が、自分がどこにいるのか、なぜここにいるのかもわからない状態で、知らない職員に食事を勧められたとします。

そこに「今日の予定」や「役割」が伝えられていなければ、脳は不安や恐怖を感じ、大声を上げることで自分の存在を示そうとするのです。

小さな予定がもたらす安心と快楽
そこで重要になるのが、「予定を伝える」ことです。

たとえば、

「Aさん、おはようございます。今日はこのあと朝食です。」
「料理長が心を込めて作ったメニューですよ。」
「一緒に召し上がりますか?」
こうした丁寧な声かけによって、本人の中に「予定」が生まれ、「理解できた」「受け入れられた」という感覚が芽生えます。そして、予定通りに朝食を取ることができたという「達成感」が、ドーパミンの放出を促すのです。

ドーパミン×セロトニン×オキシトシン=尊厳介護
さらに、朝日が差し込む明るいダイニングで、職員との笑顔のやりとりがあると、セロトニンとオキシトシンの分泌も促されます。

セロトニン=日光を浴びる、繰り返しの行動(歩く、食べる)
オキシトシン=「ありがとう」「うれしいね」といった共感と触れ合い
こうした一つひとつのやりとりが、快楽や安心を支える脳内物質を自然に引き出し、「安心して、今日もここで過ごせる」と感じさせてくれます。

忘れることを前提に、丁寧に繰り返す
「どうせすぐに忘れてしまうから」と思ってしまうかもしれません。でも、だからこそ、丁寧に何度も繰り返し予定を伝え、確認し、実行することが大切なのです。

予定が達成されるごとに、「良かったですね」「ありがとうございます」「また昼食の時間に声をかけますね」といった“評価”や“共感”を添えることで、脳はさらにドーパミンを放出します。

「いるだけで感謝される」存在としての尊厳
これはまさに「ウエルビーイング(Well-being)」の状態です。

何かができるから尊いのではなく、「そこにいてくれること自体に感謝される」という感覚が、人の尊厳を支えるのです。忘れても、混乱しても、「ありがとう」と言われる。これこそが、尊厳ある介護の本質なのではないでしょうか。

これから、ここから
ドーパミンを引き出す介護は、決して難しいことではありません。「予定を立て、それを実行する」――この基本を意識するだけで、介護の質が大きく変わります。

「今日もありがとう」と言える朝を、「また明日もね」と言える夜へ。

そんな日々の積み重ねが、認知症介護の最前線でできる尊厳ある支援であり、科学と実践を融合させた“介護の未来”への一歩です。

↓↓↓詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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