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【尊厳Well-Kaigo】在宅90%を実現するために必要な視点とは?

【末尾に英語、中国語、タイ語の翻訳文を挿入しております】
文末附有中文、泰文和英文翻译
ส่วนท้ายมีการแปลเป็นภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษ
Translations in Chinese, Thai, and English are provided at the end.


はじめに:医療主導から介護への視点転換
みなさん、こんにちは。
今回は、先日中国・蘇州で開催された日中高齢者福祉マッチング大会に参加した体験を通して、「在宅90%を実現するために必要な視点」についてお話しします。

この大会では、医療と健康をテーマに多くの企業がプレゼンを行い、新しい製品や技術が紹介されていました。
ですが、印象的だったのは「介護」の存在感の薄さです。高齢者を支える議論の多くが医療中心に語られ、「生活を支える介護」についての言及はほとんどありませんでした。

医療では解決できない“老い”の現実
人は年齢を重ねると、病気やけがを経験します。
医療はその治療や回復を担いますが、治らない状態や慢性的な変化に対しては限界があります。
そこで必要となるのが、介護の視点です。

介護は、「治す」ではなく「生きる」を支えるものです。認知症や老化により、生活そのものに困難が生じる高齢者が増えている中、生活を共に支える介護の重要性が高まっています。

日本の在宅介護の現実:施設偏重の比率
日本では、高齢者人口に対する介護施設利用率は約6%ですが、介護サービス全体で見ると20〜25%が施設に偏っています。特別養護老人ホームや有料老人ホームが主流であり、在宅サービスは訪問介護やデイサービス、小規模多機能型居宅などが中心となっています。

つまり、現時点での日本は「在宅介護中心社会」とは言えず、まだまだ施設主導の構造が根強く残っているのです。

在宅90%のカギは「住宅とまちづくり」
では、在宅介護を本当に実現するには何が必要でしょうか?答えは「住宅」と「まちづくり」にあります。

日本の都市計画では、地域包括支援センターを軸に、行政単位での高齢者支援体制が組まれています。
このように、地域の計画と住宅整備がセットになっていなければ、在宅介護は根づきません。

デンマークモデルからの学び
デンマークでは、すでに「施設をつくらない」政策が進んでおり、介護付き施設ではなく高齢者住宅へと方針転換が行われています。このモデルでは、高齢者向け住宅に在宅サービスを組み込む形でケアが提供されています。

日本でも国土交通省が主導するサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)があり、そこに厚労省管轄の訪問介護・デイサービスが組み合わされる形になっています。このようなモデルが、在宅90%を目指すための基本的な方程式となるのです。

教育との接続が戦略を強化する
こうした仕組みの中で重要となるのが、「教育との接続」です。どのような住宅で、どのようなサービスを誰に提供するのかによって、求められる教育内容も変わります。

つまり、現場の実情に合わせた教育設計がなければ、質の高い在宅介護は実現できません。制度や街づくりと教育がつながって初めて、現実的なケア戦略が生まれます。

実例紹介:足立区の都営住宅団地再開発
私が実際に関わった事例として、東京都足立区の都営住宅団地の再開発があります。
この再開発では、老朽化した団地の1棟を特別養護老人ホームへと転用し、1階には訪問介護やショートステイ、デイサービスなどの在宅サービスが併設されました。

これにより、周辺の団地に住む高齢者にとっても“通える・頼れる”拠点が生まれ、地域全体が高齢者に優しい街へと変化しました。これは、施設を単なる「入居の場」とせず、「まちの中のケアの拠点」とする試みでした。

私は21法人から採択を受け本プロジェクトを推進し、このユニット型特別養護老人ホームの施設長を10年勤めました。

中国への応用可能性と今後の展望


中国にも数多くの団地が存在しており、それを高齢者住宅としてリニューアルする可能性は大いにあります。
その際に、訪問介護や通所サービス、さらには認知症対応も含めたケア拠点を組み込むことで、「在宅9割」を目指す都市計画が現実味を帯びてきます。

介護は住宅、まちづくり、教育の三本柱が揃って初めて、尊厳ある在宅生活を支えることができます。
これこそが、日本が経験を通じて培ってきた知見であり、中国をはじめとしたアジア諸国に共有できる「尊厳Well-Kaigo」の理念なのです。

↓↓↓詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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