MENU

【尊厳Well-Kaigo】困る家族へ


はじめに
皆さま、こんにちは。利久です。
本日は「困る家族へ」というテーマでお話ししたいと思います。

私は日々の活動の中で、介護に直面するご家族から多くの声を聞いてきました。その中で感じるのは、家族が抱える「困り事」はとても複雑で、時に心を追い詰めてしまうことさえあるということです。ここでは、家族がなぜ困るのか、そしてどのように解決への糸口を見出すのかを一緒に考えてみたいと思います。

家族が抱える「困り事」の本質


ご家族が最初に感じるのは「不安」です。親の変化にどう向き合えばよいのか、今後どのような状態になるのか、自分や家族の生活にどんな影響が出るのか――先の見えない状況が大きな心配を生みます。

さらに、日本には介護保険制度や多様なサービスが整っていますが、実際に「どのサービスをどう選ぶか」という段階でつまずく方が多いのも事実です。情報は豊富でも、自分で判断できない、家族の意見がまとまらない、といった混乱が起きやすいのです。

争いを生む家族の葛藤
困り事が解消されないまま進むと、家族内での争いが生じます。「兄のせいだ」「嫁が悪い」など、原因を押し付け合う場面は少なくありません。そこには過去の関係性や財産問題、相続への不安などが絡み合います。私も施設長時代に、こうした家族間の対立を数多く見てきました。

介護の場面では、ケアマネージャーや相談員が間に入り、調整を行うことが求められます。家族会や勉強会を設けて、対話を積み重ねることが、争いを和らげる大切な方法のひとつです。

困り事がもたらす深刻な影響
解決できない困り事は、虐待や自己否定といった深刻な事態を招くことがあります。特に一人息子が親の介護を担った場合、相談相手がいないままイライラを募らせ、力で押さえつけてしまうケースがあります。
逆に娘さんに多いのは、自分を責める「自傷的」な傾向です。「私のせいだ」「もっと頑張らなくては」と追い込み、心をすり減らしてしまうのです。

つまり「一人で抱え込むこと」が最大のリスクです。

相談の場をどう活かすか
では、どうすれば困り事を解消できるのでしょうか。答えは「相談すること」です。日本には地域包括支援センター、ケアマネージャー、行政や社会福祉協議会など、相談窓口が数多くあります。さらに、親の介護を経験した友人や近所の方との会話も大切な助けになります。

実際に私も中国の方から相談を受ける機会がありました。制度やサービスは未整備でも、「聞いてくれる人がいる」というだけで表情が和らぎます。相談は、安心をつくる第一歩なのです。

心の整理と理解を深めること
相談では、まず「耳を傾ける」ことが重要です。家族が抱える困り事を整理して聞き取り、一つひとつを言葉にしていくことで、気持ちが軽くなります。

また、心理学の観点からも理解が深まります。例えばマズローの欲求段階説をあてはめれば、高齢期における「生命の維持」「安全」「社会的つながり」「承認」「自己実現」という階層的なニーズが見えてきます。高齢者も「子や孫に役割を果たしたい」という思いを持ち続けています。この視点を共有することで、介護は単なる義務ではなく、心の支え合いの場へと変わります。

「困り事」を生活全体でとらえる
困り事は介護技術の範囲にとどまりません。例えば「におい」の問題。においを消すだけでなく、生活環境を整え、清潔を保つ工夫が求められます。掃除、入浴、衣類の管理、排泄ケア――生活の一つひとつに工夫を凝らすことが、尊厳を守ることにつながります。

最も大切なこと
私が強調したいのは2点です。

一人で抱え込まないこと
相談できる相手を見つけること
日本には制度や仕組みがありますが、それを「知っているかどうか」で大きな差が出ます。変化が起きるたびに相談を重ね、困り事を整理していくことが大切です。

介護の困難は、認知症や身体介護、そして最期の看取りまで、人生の流れとともに形を変えて続いていきます。そのたびに「相談し、共有する」ことで、家族も本人も尊厳を守りながら前に進むことができるのです。

これから、ここから
高齢社会における困り事は避けられません。しかし、それを一人で抱え込む必要はありません。相談する勇気、そして支え合う仕組みを活かすことで、家族も本人も安心を得ることができます。

皆さんの周りには、きっと相談できる人がいます。もし身近に見つからないときは、どうぞこの場を通じて声をかけてください。

ご質問は本サイトの「お問い合わせ欄」からお気軽にお寄せください。

↓↓↓詳細は音声配信Podcastから「ながら聴取」をしてください。

Let's share this post !

Author of this article

Comments

To comment

Please Login to Comment.

TOC