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【尊厳Well-Kaigo】介護抵抗の謎


本日のテーマは「介護抵抗の謎」についてです。
認知症ケアの現場でしばしば耳にするこの言葉は、介護を学び始めた方や海外の方からも多く質問を受けるテーマです。

ところで、私は昨日、大阪で開催された「中日観光健康産業交流座談会」に参加してきました。
日本から中国に向けて観光や介護の分野でどのような連携が可能かを議論する場で、私は日本の介護保険制度の歩みと、中国の「9073方式」(在宅90%、地域7%、施設3%)との比較について講演しました。

日本の歩みと中国への示唆
今回の座談会を通じて改めて感じたのは、日本が25年以上かけて築いてきた「介護を支える社会の仕組み」が、これから高齢化を迎える中国にとって参考になり得るということです。

制度や技術論はもちろん重要ですが、大切なのは「鳥の目」で全体を整理し、時間軸で過去から未来へとつなぐ視点です。その上で、自国に当てはめ、どう応用できるかを考える必要があります。私はその整理役として情報提供をし、共に考える場を広げていきたいと考えています。

物語で伝える介護の知恵


日本の介護の歩みを海外に伝えるとき、単なる制度の説明だけでは伝わりにくいことがあります。だからこそ「物語」という形が効果的です。人や地域の歴史を背景にしたストーリーに置き換えると、異なる文化や価値観を持つ人々にも理解が届きやすくなります。

私自身も動画や実例を用いながら、認知症ケアを物語化して伝える取り組みを続けています。
その一環として今回取り上げたいのが「介護抵抗」というテーマです。

介護抵抗とは何か
介護抵抗とは、入浴や食事、着替えといった日常的な支援を本人が拒否する現象のことです。時には強い反発を示すこともあり、BPSD(行動・心理症状)の代表例とされています。

なぜ抵抗が起こるのでしょうか。背景には大きく分けて2つの要因があります。

認知症の中核症状
記憶障害や見当識障害によって、介護者の言葉や行動の意味が理解できない場合、不安や恐怖から抵抗が生まれます。

身体・心理・環境要因
痛みや体調不良、薬の副作用、生活習慣の違い、さらには介護者の態度や経験不足なども影響します。

新人の介護士が介護抵抗を受けやすいのは、表情や態度に不安が出やすいためです。逆に、ベテランは自然な接し方や信頼関係の築き方を身につけているため、抵抗が少ない傾向があります。

具体例で考える介護抵抗
たとえば「まだ介護を受け入れられない」という気持ちを持つ高齢者に、一方的に支援を提供しようとすると「触らないで」と拒否されることがあります。また便秘で苦しいときに食事を勧めても、本人にとっては「食べられる状況ではない」ため抵抗が生じるのです。

つまり、介護抵抗は単なる拒否ではなく、その人の体調や心模様、生活背景を映し出すサインでもあります。

学び続けることで解ける「謎」
介護抵抗を解き明かすには、観察と学びが欠かせません。薬の影響か、生活環境か、あるいは人間関係か。先輩がうまくできるのに新人ができないのは「経験値」という差が大きく影響しているのです。

介護現場では、事例を共有し、先輩の対応方法を学び取ることが重要です。その積み重ねによって「抵抗されにくい介護者」が育ちます。これは日本でも海外でも共通の課題であり、教育の中で繰り返し学ぶべきテーマだと思います。

尊厳を守る教育の必要性
介護抵抗がうまく扱えないと、身体拘束や不適切な介護、さらには虐待につながる危険性があります。その結果、介護職を志した人が心を折られ、離職してしまうケースも少なくありません。

特に海外から来て働く介護人材にとっては、言語や文化の違いも加わり、さらに困難が大きくなります。だからこそ「尊厳を守る教育」が不可欠なのです。学ぶ側の背景を理解し、伝える側の方法を工夫することで、共に長く学び合える関係を築いていけると感じています。

これから、ここから
これからの介護教育は、「座学 → 事例共有 → 実技指導 → 評価」という流れを繰り返すことが大切です。その上で、物語や動画を活用し、国境を越えて共感を生む方法を取り入れていきます。

日本の現場を見学してもらい、時には日本の教育者が海外の現場に入り、共に考えながら実践を支援する。そうした往復の交流が、真に「尊厳を守る介護教育」をつくり出すと信じています。

介護抵抗の謎を解くことは、単なる技術習得ではありません。その人の人生や心を尊重し、共に歩む姿勢を磨くことです。日本の歩みを基盤に、これからは中国をはじめアジア各国と共に新しいケアの形を創り上げていきたいと思います。

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