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【尊厳Well-Kaigo】語想法で作った利久物語

【多言語ブログ/末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
【多语言博客/文末附有中文、泰文和英文翻译内容】
【บล็อกหลายภาษา/มีคำแปลภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษอยู่ท้ายบทความ】
【Multilingual Blog / Translations in Chinese, Thai, and English are included at the end of the article】


今回のテーマは「語想法で作った利久物語」です。
私はこれまでの人生を振り返りながら、日本の介護の歩みと重ね合わせて一つの物語をつくってきました。この「利久物語」を通して、介護教育における新しい方法論について考えてみたいと思います。

語想法とは何か


「語想法(ごそうほう)」とは、自分史 × 地元史 × 社会史を組み合わせて物語を紡ぐ方法です。

認知症介護で使われてきた「回想法」は、短期記憶が弱くなった方に過去を思い出していただき、安心感を得てもらう手法でした。私はその延長線上に、物語を通して記憶と尊厳を守る方法を探りたいと考えました。

自分の人生を振り返る「自分史」、育った土地を語る「地元史」、そして時代背景を加える「社会史」。この三つを重ね合わせることで、一人ひとりの人生がより立体的に浮かび上がるのです。

自分史と地元史
まずは「自分史」です。
人は生まれた場所、学んだ環境、働いた経験、家庭や地域との関わりを通して人生を積み重ねていきます。介護が必要になったときに、「どのように生きてきたか」「どんな生活を望むか」を語ることは、その人の尊厳を支える大切な要素となります。

次に「地元史」。
生まれ育った地域や、人生を過ごした土地は、その人のアイデンティティと深く結びついています。学校行事やお祭り、災害の記憶、自然環境──そうした地域の歴史は、一人の人生を理解するために欠かせません。介護現場でよく耳にする「帰りたい」という言葉の背景には、この「地元史」の影響が強く表れています。

社会史の導入
さらに私は「社会史」を加えました。
一人の人生は、その人が生きてきた時代背景と切り離すことはできません。

私は1957年に生まれました。「もはや戦後ではない」と言われ、日本が高度経済成長へと踏み出した時代です。住宅会社に勤め、都市開発と共に働きながらも、高齢化社会の到来を直に経験しました。2000年に介護保険制度が始まった時には、高齢化率はすでに17%を超えていました。

こうした社会の変化は、私の人生や仕事に大きな影響を与え、同時に日本の介護制度の発展を形づくってきました。

語想法を教育に活かす
「自分史」「地元史」「社会史」を組み合わせる語想法を、私は介護教育の柱として取り入れています。

介護技術や制度を一方的に伝えるだけでは、学ぶ人の心に深く響きません。物語を通じて学ぶことで、自分の人生や地域の歴史と重ね合わせて理解できるようになるのです。

たとえば、認知症の方の繰り返しの会話には、昔の土地や若い頃の記憶が必ず登場します。それを「同じ話」と切り捨てるのではなく、物語として尊重すること。そこに「尊厳介護」の真髄があります。

利久物語を紡ぐ
私はこれまでに21話の「利久物語」をまとめました。
それは単なる自伝ではなく、社会の歴史や介護制度の変遷を織り込みながら、自分の歩みを物語として形にしたものです。

また、未来を描く「AI施設長物語」というフィクションも進めています。AIと人が共に介護を担う姿を物語化し、教育と実践を結びつけようとしています。

物語が伝える力
介護の制度や技術をいくら丁寧に説明しても、経験のない国や地域の人々には伝わりにくいことがあります。しかし物語ならば、心に直接届きます。

目と目が合い、心が通じ合った瞬間に生まれる共感。それは文化や制度を超える普遍的なものです。だからこそ私は、教育の場に物語性を取り入れることが大切だと考えています。

ナラティブ・ベースド・ケアが示すように、人の尊厳は物語の中に息づいています。認知症を「治す」のではなく、その状態を抱えながらも「自分らしく生きる物語」を歩むこと──それが私の目指す尊厳介護です。

これから、ここから
私は「語想法」を通じて、日本の尊厳介護を世界へ広げたいと考えています。
中国、マレーシア、タイをはじめ、これから本格的な高齢社会を迎える国々に、日本の経験を物語として伝えること。それが、未来の介護に必要な道筋だと信じています。

答えを一方的に示すのではなく、物語を共有しながら共に学ぶ。そこにこそ国境を越えて通じ合う力があります。
自分の歩みと社会の歴史を重ね合わせ、「尊厳ある生き方」を物語として伝えていくこと。それが未来の介護をより豊かにしていくと確信しています。

共感いただける方、活動に興味がある方は末尾のお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

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