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【尊厳Well-Kaigo】訪問介護の新しい可能性 ― まずは都市部から考える

【多言語ブログ/末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
【多语言博客/文末附有中文、泰文和英文翻译内容】
【บล็อกหลายภาษา/มีคำแปลภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษอยู่ท้ายบทความ】
【Multilingual Blog / Translations in Chinese, Thai, and English are included at the end of the article】


はじめに
今回のウエルエイジング・アワーでは、「訪問介護の新しい可能性」について、特に都市部の視点から考えてみたいと思います。きっかけは、最近のニュースで報じられた訪問介護事業所の倒産件数が過去最多の45件に達したという事実です。

私はこれまで、特別養護老人ホームに併設された訪問介護事業の管理者を務めてきました。地方と都市では状況が大きく異なりますが、今回は東京在住の立場から、現状の課題とこれからの戦略について整理してみます。

なぜ倒産が増えているのか
倒産増加の理由は、主に以下の3つです。

基本報酬単価の引き下げ
物価・人件費の上昇(電気代・食費・最低賃金の上昇)
人材不足(訪問介護員のなり手不足)
収入が伸びない一方で経費が増え、人材確保も難しい。これは単純な因果関係ですが、この変化にどう対応するかが生き残りの鍵です。

社会の変化を取り込む視点


訪問介護の利用者層は減っていません。むしろ都市部では増えています。それにもかかわらず赤字に陥るのは、先ほど挙げた要因に加えて、社会の変化を戦略に反映できていない可能性があります。

事業計画を組んでいるか?
職員教育を行っているか?
地域戦略を明確に描けているか?
制度や報酬単価を批判しても、国の方針はすぐには変わりません。現状に合わせて戦略を組み直すしかないのです。

地域包括ケアの中での訪問介護
地域包括ケアシステムは、医療・介護・福祉が連携し、在宅生活を支える仕組みです。訪問介護はその中核を担います。
都市部では、重度の方は施設、軽度~中度の方は在宅という流れが一般的です。在宅生活を長く続けるためには、病院からの退院後支援、訪問看護との連携、そして施設との役割分担が欠かせません。

都市部の強み ― 移動効率


都市部には中高層マンションや団地など、人口が密集した住宅が多くあります。ここに戦略的にサービスを集中させれば、移動時間をほぼゼロに近づけることが可能です。

例えば、同じマンションの別フロアに複数の利用者がいれば、移動は数分以内で済みます。地方で1件訪問するために車で30分かかるケースと比べれば、圧倒的な効率差があります。

コミュニティの将来を読む
団地や地域コミュニティの年齢構成を把握することは重要です。

高齢化率40~50%の団地
新しい分譲マンションに住む世帯の親世代が高齢化するタイミング
朝の散歩や体操に集う高齢者コミュニティ
5年、10年先を見据えたとき、どこで介護ニーズが急増するかを予測し、事前に戦略を立てる必要があります。

無駄を減らす連携の発想
介護報酬改定でも示されたように、送迎車の共同利用など、事業者間の連携で無駄を削減する発想が求められます。
例えば、同じ地域で複数のデイサービスがそれぞれ送迎車を走らせている現状は、燃料費や人件費の面で非効率です。

小規模事業者の可能性と課題
訪問介護には小規模事業者が多く、サービスの質は高くても経営や運営が弱いケースが目立ちます。
ここで重要なのは、現状分析→戦略立案→実行→職員教育のサイクルを回せるかどうかです。戦略を立てるのが苦手であれば、専門家のアドバイスを受けて事業計画に反映させるべきです。

世代交代とニーズの変化
利用者の世代は変わり、食習慣や教育背景も異なります。団塊世代が介護を受ける時代に入り、サービス内容やアプローチも見直す必要があります。

AIやICTを活用し、介護保険外サービスも組み合わせた柔軟な対応がこれからの鍵です。

海外の視点から
私は中国の都市開発にも提案を行っています。中国では中高層団地が多く、在宅生活と施設介護のバランスを戦略的に組み合わせる方針が進んでいます。中国政府方針 9073(在宅90%・社区7%・施設3%)のあり方を日本の経験から組み立て直す共創ができるのではないかと期待しています。
そして、日本もこれまでのやり方を見直し、AIやICT、地域戦略を組み合わせた新しい訪問介護モデルを作る時期に来ています。

ここから、これから
訪問介護の利用者は確実に存在し、都市部には効率化の余地が大きく残されています。
必要なのは、制度の変化や社会構造の変化を見極め、それに合わせた地域戦略を立て、実行していくことです。

これからも、地域の声に耳を傾けながら、新しい訪問介護の可能性を考え続けていきます。

↓↓↓詳細は音声配信Podcastから「ながら聴取」をしてください。

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