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【尊厳Well-Kaigo】介護の言葉が脳を壊すとき

【多言語ブログ/末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
【多语言博客/文末附有中文、泰文和英文翻译内容】
【บล็อกหลายภาษา/มีคำแปลภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษอยู่ท้ายบทความ】
【Multilingual Blog / Translations in Chinese, Thai, and English are included at the end of the article】


本日のWell Aging Hour)では、「介護の言葉が脳を壊すとき」というテーマについて考えてみたいと思います。

介護の現場では日々多くの言葉が交わされます。その一つひとつが、利用者の心だけでなく「脳」に直接影響を与えることをご存じでしょうか。言葉は単なる音声ではなく、脳内でホルモンを分泌させ、感情や意欲を左右する大きな力を持っています。

言葉が脳に与える影響


脳科学の研究では、否定的な言葉がストレスホルモンを過剰に分泌させ、海馬や扁桃体に悪影響を及ぼすことがわかっています。
「どうせできない」
「早くしてください」
「食べないとダメですよ」

こうした言葉を繰り返し浴びた人は、意欲や記憶力を低下させてしまう危険があるのです。

一方で、依頼形や共感的な言葉は脳の報酬系を活性化させます。
「一緒にやってみませんか?」
「ご準備しましたので、ご一緒に食事を楽しみましょう」

このような言葉は、ドーパミンやセロトニン、そして「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンの分泌を促し、利用者に安心感と生きる力を与えてくれます。

介護用語の多様性と葛藤
日本語の「介護」という言葉には幅広い意味が含まれています。部分的な支援は「介助」と表現され、英語では「Care」と言われることが多いです。私は「サポート」という言葉も好んで使います。

さらに、かつて私が施設長を務めていた頃には、介護職員を「生活エンジョイナー」と呼んでいました。生活を楽しむ支援者としての役割を強調したかったからです。

言葉をどう定義するかは、単なる言葉遊びではありません。利用者との関わり方を方向づけ、介護そのものの価値を形作る重要な要素です。

メラビアンの法則と非言語の力
コミュニケーション研究で有名な「メラビアンの法則」によれば、言葉そのものが伝える情報は全体のわずか7%にすぎません。
残りは、表情や声のトーン、態度といった非言語要素に大きく依存しています。

介護現場では、目線の高さ、声の柔らかさ、距離感などが何より大切です。
言葉づかいだけでなく、態度そのものが利用者の尊厳を支えるのです。

アンチエイジングからウエルエイジングへ
言葉の流れをたどると、「アンチエイジング」という考え方が広く浸透してきました。若さを保ち、老いを遠ざけたいという願望から生まれたものです。

しかし現実には、誰もが老いを避けることはできません。だからこそ私は「ウエルエイジング」という考え方を提唱しています。老いを受け入れ、尊厳を持って生きる。介護もその延長線上にあるべきなのです。

老人ホームは「消える」のか?
私は先日、「老人ホームが消える日」というテーマで発信をしました。多くの賛否が寄せられましたが、その本意は「収容型施設の時代は終わりつつある」という問題提起でした。

今後は地域拠点としての介護施設、自宅に近いもう一つの「在宅」としての住まいが必要になるでしょう。そこでは「脳を壊す言葉」ではなく「脳を活性化する言葉」が交わされるべきです。

教育の現場から
現在、私は仲間たちと共に尊厳介護の教育プログラムを作っています。
認知症介護の動画教材や海外向けの講義を進める中で、常に直面するのは「言葉の定義をどう共有するか」という課題です。

制度用語としての「介護」、学術的に輸入された「ケア」、技術用語としての「介助」。これらを整理しつつ、哲学としての「尊厳介護」をどう伝えるか。そこに強い責任を感じています。

これから、ここから
私たちが目指すのは、言葉によって脳を壊す介護ではなく、言葉によって脳を活性化させる介護です。
利用者の尊厳を守り、その人らしさを支えるために、私たちは言葉をもっと丁寧に選ぶ必要があります。

そして、その哲学を共有できる仲間とともに、動画、講義、実地指導といった形で「尊厳Well-Kaigo」を世界へ広げていきたいと思います。

介護は単なる作業ではなく、人を育てる教育でもあります。
死生観を伴う言葉の力を見直し、脳と心を壊さず、むしろ強める介護を目指しましょう。

共感いただける方、活動に興味がある方は末尾のお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

↓↓↓詳細は音声配信Podcastから「ながら聴取」をしてください。

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