MENU

【尊厳Well-Kaigo】健康寿命と平均寿命の差が問いかけるもの

【多言語ブログ/末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
【多语言博客/文末附有中文、泰文和英文翻译内容】
【บล็อกหลายภาษา/มีคำแปลภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษอยู่ท้ายบทความ】
【Multilingual Blog / Translations in Chinese, Thai, and English are included at the end of the article】



「生かされる寿命」から「生ききる寿命」へ

今日は「健康寿命」と「平均寿命」の違いについて考えてみたいと思います。
この二つの差が、実は私たちの生き方そのものに深く関わっているからです。

平均寿命と健康寿命の“10年差”が意味すること
まず、「平均寿命」とは、生まれてから生命が続く期間、つまり“生きている年数”を示します。
日本では男女平均で約85歳、中国ではおよそ78歳、東南アジア諸国では70歳前後の国もあります。
一方の「健康寿命」は、“自立して生活できる期間”を指します。日本の場合、平均寿命が85歳であれば、健康寿命はおおむね75歳前後。つまり、約10年間は何らかの支援が必要な状態で過ごしているということになります。

この「10年」という差は、単なる数字ではありません。
それは、病気や介護が必要になってからの「生き方」を問いかけているのです。

健康寿命を支える社会的な仕組み
日本では、この健康寿命を延ばすために「介護予防」という仕組みが整えられています。
要支援1・2の人たちを対象とした「地域総合事業」、地域包括支援センターによる「フレイル予防」「認知症予防」などの取り組みがそれです。

さらにその前段階として、「健康リスクが高い人」への早期支援も始まっています。
体力の低下、食事の偏り、孤立、心の不安——。
これらが積み重なると、やがて介護が必要になるリスクが高まります。
だからこそ、「病気になってから治す」より、「病気にならない生き方を選ぶ」ことが重要なのです。

プレエイジング・トレーニングの考え方
私たち日本ウエルエージング協会(WAJA)では、「老齢前修練(プレエイジング・トレーニング)」を提唱しています。
これは、老いを迎える前に、自分の身体と心の状態を整え、健康寿命を延ばすための教育と実践プログラムです。

サルコペニア(筋肉減少症)やフレイル(虚弱)といった概念が注目される中、
私たちはより早い段階、たとえば45歳から50歳のころから意識を変えることを重視しています。
この年代はまだ元気で、仕事や家庭の中心にいる時期ですが、生活習慣を変えるのは最も難しい時期でもあります。
「今困っていない」からこそ、「将来への備え」に時間と労力を割けない——。
それが現実です。

しかし、この時期にこそ、プレエイジング・トレーニングを始めることが意味を持ちます。
なぜなら、健康寿命を決めるのは「老い」ではなく、「中年期の選択」だからです。

生活習慣と心の健康を見直す
朝の隅田川を歩いていると、高齢の方の姿を多く見かけます。
一方で、40代・50代の人たちは意外と少ないのです。
ジョギングをする人はいても、「歩く」人は少ない。
仕事や家庭に追われ、朝の時間を確保するのが難しいのかもしれません。
しかし、健康寿命を延ばすためには、こうした「日常の積み重ね」が最も重要です。

健康とは、単に身体のことではありません。
心の健康、社会とのつながり、そして自分の役割意識——。
この三つのバランスが取れてこそ、「本当の健康」といえるのです。
退職後の人生をどう生きるかも、このバランスの上に成り立っています。

定年後の“35年間”をどう生きるか
中国では、女性の定年が50歳前後という職種もあります。
平均寿命が85歳とすると、定年後の人生は約35年間。
これは日本の「人生100年時代」にも通じます。

つまり、仕事を終えたあとの「第二の人生」をどう過ごすか——。
そこに健康寿命の鍵があります。
日本では「フレイル予防」「サルコペニア対策」「介護予防」などが地域支援の中心になっていますが、
本来であればそのさらに前、45歳前後から「健康教育」や「生活再設計」を始めるべきなのです。

朝の散歩、呼吸法、食生活、読書や学び。
そして「脳を使う時間」を意識的に持つこと。
これらが健康寿命を延ばすための土台になります。

健康寿命と平均寿命の差を縮めるという目標
「健康寿命を5年延ばす」ことができれば、
平均寿命との差を縮め、介護が必要な期間を短くできます。
日本の健康寿命75歳を80歳に引き上げる。
これは決して夢ではありません。

そのために必要なのは、“生活習慣の科学化”と“教育の仕組み化”です。
一人ひとりが「自分の老い」を学び、選択し、整えていく。
そのためのプログラムが「プレエイジング・トレーニング」なのです。

AI時代のウエルエイジングへ
私は近い将来、AIを活用した「健康教育」「介護支援」「地域共創」が実現できると考えています。
AIが日々の生活データを分析し、健康状態を見守り、最適なアドバイスをくれる。
人の代わりにではなく、人と共に支えるAI。
それを「AI共創センター」という形で実現できれば、
高齢者の新しい役割や仕事も生まれるでしょう。

AIを使って健康を伸ばし、教育や芸術と結びつけ、
地域社会の中で「生きる力」を再び取り戻す——。
それこそが、尊厳を軸とした「Well-Aging(尊厳ある老い)」の未来です。

これから、ここから:尊厳ある老いを、共に創るために
健康寿命と平均寿命の差は、
単に“病気の期間”を示す数字ではありません。
それは「どう生きたいか」「どう老いたいか」を私たちに問いかけています。

プレエイジング・トレーニングを通して、
自分の心と身体、そして社会との関わりを見つめ直すこと。
その積み重ねこそが、尊厳ある老いへの第一歩です。

AI時代に生きる私たちは、
テクノロジーを敵にするのではなく、共に未来を創るパートナーとして受け入れましょう。
そして、健康寿命を延ばし、人生の最期まで「自分らしく生き切る」社会をつくっていきたいと思います。

ご質問は本サイトの「お問い合わせ欄」からお気軽にお寄せください。

↓↓↓詳細は音声配信Podcastから「ながら聴取」をしてください。

Let's share this post !

Author of this article

Comments

To comment

Please Login to Comment.

TOC