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【尊厳Well-Kaigo】日本在住中国人介護士への期待

〜日中の架け橋となる“介護人材”という希望〜

はじめに:中国人介護士とのご縁から
最近、ありがたいご縁で日本で介護の仕事に従事している中国出身の女性の方々と交流する機会がありました。

彼女らは、かつては「日本でできる仕事の中で、まずは介護しかなかった」という状況からスタートしました。
しかし今では、その現場経験をもとに「日中の介護をつなぐ架け橋」として、大きな期待を寄せられる存在になっています。

日本における中国人の存在感


2023年末時点で、日本に在留している中国人の数は約72万人にのぼり、近い将来100万人に達するとも言われています。これは外国人全体の中でも最多であり、高齢化の進む日本社会において、中国人の存在感はますます大きくなっています。とりわけ介護現場では、中国語と日本語の両方に通じた人材が求められる場面が増えています。

見えない壁:言語と文化の課題
日本に住む中国人高齢者やその家族、また現場で働く中国人介護士たちが直面している課題には、次のようなものがあります。

介護保険制度の壁
介護保険の申請や説明は、ほとんどが日本語のみで行われており、理解が難しいという声があります。

コミュニケーションの不安
ケアマネジャーや施設スタッフとのやり取りで、細かいニュアンスが伝わらず、不安を抱えるケースが多く見られます。

本人の意思が届かないリスク
認知症や終末期の場面で、中国人高齢者が本当に望んでいることが言語の壁で伝えきれない。これは非常に深刻な問題です。

文化理解の不足
日本人スタッフが中国人高齢者の文化的背景や価値観を十分に理解していないことも、信頼関係構築の妨げとなっています。

孤独感と精神的な不安
異国の地で老いることへの不安、家族との距離感、孤独…こうしたメンタル面へのサポートは、まだまだ不十分です。

Well-Kaigoが描く「これからの支援」
こうした課題を前向きにとらえ、日本の「尊厳ある介護(Well-Kaigo)」の視点からできる支援策を、次のように考えています。

  1. 中国語対応の介護相談窓口の設置
    まずは各地域で、中国語で相談できる窓口を整備することが必要です。介護保険や生活支援制度、医療機関との連携情報などを母語で得られることは、当事者の安心につながります。
  2. 通訳・家族支援を担う中国人介護士の育成
    現場で働く中国人介護士が通訳者としても活躍できるように支援することは、本人にとってのキャリアアップにもなります。また、家族が日本語に不安を抱えているケースでも、橋渡し役としての役割が期待されます。
  3. 文化への配慮を取り入れた介護
    看取りの儀式や食事支援、宗教的な配慮など、中国人高齢者の文化背景に寄り添った介護の提供が求められています。これは単なるサービスの多国語化ではなく、“文化の理解”に基づく実践です。
  4. 「日中橋渡し人材」の育成と認証
    介護の知識と通訳・翻訳のスキル、さらには異文化理解を併せ持つ「橋渡し人材」を育成し、正式な資格・認証制度として位置づけることも検討されています。今後はこのような多機能人材の活躍が地域社会の要となるでしょう。
  5. 中国人高齢者向けのモデル施設づくり
    中国人高齢者が安心して過ごせるようなモデル施設や地域ネットワークの形成も、大きな目標の一つです。「食事の味」「言葉の通じる仲間」「文化行事」など、日常の中に祖国のエッセンスを取り入れることで、より安心して暮らせる環境が生まれます。

これから、ここから


「尊厳ある介護」は国境を超えて共通する人間の願いです。中国出身の介護士たちは、日本の介護を現場で学びながら、やがてはその知恵と実践を中国にも伝えていく存在になるはずです。

日本にいるからこそできる支援、中国人だからこそ届く想い。
その両方をつなぐ「日中介護の架け橋」を、一緒に築いていきましょう。

↓↓↓詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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