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【Well Aging】太陽の方向に高齢社会の未来を読む 〜マレーシアとの共創から始まる希望〜

【末尾に英語、中国語、タイ語の翻訳文を挿入しております】
Translations in Chinese, Thai, and English are provided at the end.
文末附有中文、泰文和英文翻译
ส่วนท้ายมีการแปลเป็นภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษ

こんにちは、日本ウエルエージング協会会長の小川です。

今日は、2025年4月21日に大阪・関西万博のマレーシアパビリオンで行われた「認知症介護教育」に関する調印式を振り返りながら、「LookEast・ウエルエイジング」という新たな視点についてお話ししたいと思います。


Look East
マレーシアからの“東へのまなざし
1980年代、マレーシアのマハティール元首相が打ち出した「Look East_ルックイースト政策」は、日本をはじめとする東アジアの文化・教育・倫理観を学び、国の発展に活かそうという国家戦略でした。

その精神は今も生き続けており、今回の調印式にも「日本に学ぶ」という意思が込められていました。

「東を見る」とは、単なる方角ではありません。太陽が昇る方向——つまり、希望が生まれる方向を意味しています。マレーシアから見た東は日本。

そして日本から見た東は太平洋の先、アメリカやヨーロッパでした。
時代が変わり、今、マレーシアは“日本という東”を見つめています。

高齢化を迎えるマレーシア、日本の歩みをどう活かすか
マレーシアは現在、高齢化率が10%を超え、これから本格的に高齢社会へと移行する段階にあります。

一方、日本はすでに高齢化率29%を超える“超高齢社会”です。私たちはこの40年間、介護保険制度や地域包括ケアなどを整備してきました。

1989年には「ゴールドプラン」が打ち出され、2000年には介護保険制度が施行されました。そのときの高齢化率は17%。マレーシアは今、その手前に立っているわけです。

イスラム的価値観と介護の未来
マレーシアの多数派であるマレー系住民はイスラム教を信仰しています。イスラム教において「老い」は祝福と尊厳の象徴とされています。家族や社会が高齢者を支えることは、宗教的にも文化的にも大切な価値なのです。

この価値観と、日本の「自分らしく生ききる」ウエルエイジングの哲学は、実は深く共鳴するものです。

介護が必要になっても、認知症になっても、自分らしさを失わずに人生をまっとうする。その支援を社会全体で行う。それが、ウェル・エイジングという考え方です。

一緒に未来をつくる「ルックイースト・ウェルエイジング」
今回の調印式におけるパートナーであるマレーシアのNPOや行政関係者、そしてラシデ氏から発信されたメッセージは、「日本から学びたい」という熱い思いでした。
それはただの制度移植ではなく、文化や信仰、民族を越えて“共創”する姿勢です。

私は、この協働はまさしく「ルックイースト・ウェルエイジング」です。

それは、マハティール元首相の志を現代の高齢社会に応用し、「太陽の昇る方向に未来を描く」という希望の哲学です。

ホスピタリティこそ、未来を支える力
マレーシアの介護現場を視察した際、民族・信仰・所得の違いが共存する介護施設の実態を見ました。

まだ日本ほど細分化されたユニットケアやグループホームは発展していませんが、その混在からこそ、新たなサービスが生まれる可能性も感じました。

また、ホスピタリティのある対人サービスに若者を導くことが国を豊かにするという考え方は、
日本の「ケアの質を高める」努力と一致します。

介護・教育・認知症をつなぎ、心あるサービスを育てることが、未来の国力を築く鍵になるのです。

太陽の方向へ、共に進む


「太陽の方向に高齢社会の未来を読む」——この言葉には、宗教や文化を越えた“祈り”と“ビジョン”が込められています。

日本が歩んできた道を言語化し、それをマレーシアや他の国々に共有すること。
そして、彼らが抱く願いや信念もまた、私たちが学ぶべき「東」の智慧なのです。

日本は先に進んだ国として、これから歩む国々と手を取り合いながら、共に未来を創っていく。
その第一歩として、「ルックイースト・ウエルエイジング」というプロジェクトコンセプトを、希望と尊敬をもって進めてまいります。

調印式風景(大阪・関西万博マレーシアパビリオン内)

↓↓↓この記事の詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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