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【介護経営】老人ホームが満室になるまで

【末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
文末附有中文、泰文和英文翻译
ส่วนท้ายมีการแปลเป็นภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษ
Translations in Chinese, Thai, and English are provided at the end.

3ヶ月で150室を埋めた現場から
今日は、私が過去に取り組んだ「老人ホームを満室にするまで」の経験についてお話ししたいと思います。

テーマとして掲げた理由は2つあります。

ひとつは、日本国内の約4割の老人ホームが赤字に陥っているという現状。
もうひとつは、中国で老人ホームの入居率が50%ほどにとどまり、事業としての持続性に不安を抱く声をよく耳にすることです。

なぜ“早期満室”が重要なのか


私が開設に関わった特別養護老人ホーム(以下、特養)は、150室規模。
行政の待機者リストがあるため、理論的には“満室”にするのは難しくないと言われています。
しかし、実際には、重度の方が多く、医療的ケアが必要な入居希望者も多いため、選定や対応に工夫が必要でした。

また、有料老人ホームの場合は、待機者リストが存在しないため、自ら入居者を集め、紹介事業者に依頼しながら運営していく必要があります。

この違いは経営戦略にも大きな影響を与えます。

人件費という“見えない赤字”
老人ホームの開設において最も大きな課題のひとつが人件費です。
例えば、年間6億円の売上を見込む施設の場合、人件費が60%であれば年間3億6000万円、月あたり3000万円がかかります。

稼働率が20%の段階でも、人員配置をある程度整えておかなくてはならず、人件費は先に発生します。仮に3ヶ月で満室にならなければ、年間ベースで1億円近い赤字が生まれる可能性もあるのです。
この「立ち上げ時の人件費ロス」を最小限に抑えるには、開設前の準備が何よりも重要です。

準備段階からの“仕込み”が勝負
私たちは、施設の建設段階からすでに動いていました。建築説明会を単なる建物の説明で終わらせず、「なぜこの施設が必要なのか」「地域とどう共存していくのか」といったビジョンを明確に語り、住民の理解と協力を得る場としました。

また、開設に向けては、入居者リストの整備、入居者向けの説明会、職員の採用活動も並行して行いました。
特に職員採用では、「この施設には学びがある」「成長できる場である」と感じてもらえるような説明会や教育プログラムを用意しました。

教育と理念が事故を減らす
実際に3ヶ月で稼働率95%まで到達しましたが、その過程では事故も多発しました。入居者が転倒し、骨折するケースが続き、協力病院の医師から叱責されたこともあります。

この経験から学んだのは、単に早く入居者を受け入れるだけではダメだということです。
ユニットケアの理念を職員に浸透させ、一人ひとりの入居者に寄り添う姿勢をつくること。それが、安心・安全な暮らしを提供するための土台になります。

地域連携と学校訪問
当時、ユニットケアはまだ一般的ではありませんでした。
そのため、私たちは東日本の介護学校すべてに連絡を取り、ユニットケアの考え方と当施設のビジョンを伝える説明会を開催しました。
学校訪問や特別授業を通して、学生たちに介護の未来を感じてもらい、採用につなげる努力を続けました。

そして、地域のモデル施設へ
開設から半年〜1年は、行政からもクレームが多く、厳しい声を受けました。
しかし、その後、地域のモデル施設として認められるようになり、職員の誇りやモチベーションも大きく高まりました。

今では、あの時の苦労が自慢話になりつつあります。中国や日本で、なかなか稼働率が上がらない老人ホームの経営者の皆さんに、私の経験や考え方が少しでも参考になればと願っています。

↓↓↓詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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