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【Well-Kaigo】親孝行の再定義

【末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
文末附有中文、泰文和英文翻译
ส่วนท้ายมีการแปลเป็นภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษ
Translations in Chinese, Thai, and English are provided at the end.

親孝行とは何か?時代とともに変わる「親孝行」のかたち
おはようございます。ウエル・エイジング朝のウォーキングラジオ、今回のテーマは「親孝行の再定義」です。

「親孝行してますか?」

この問いかけを、あらためて皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
私たちが長年当たり前のように抱いてきた“親を大切にする心”や“親孝行”という価値観。
それがいま、長寿社会や介護の現実を前に、大きな転換点を迎えているのではないかと感じています。

「親孝行=子が介護を担う」時代の終わり
かつては、親が介護を必要としたとき、自宅で子どもが面倒を見ることが当然とされていました。
老人ホームに入れるのは「親を見捨てること」だというような価値観もあったほどです。

しかし、現代社会においては、子ども自身も仕事や家庭を持ち、自らの生活を抱えています。
全ての介護を家族だけで担うのは、現実的にも精神的にも大きな負担です。

それでも「親孝行とは自分で介護することだ」という思いが強すぎると、在宅介護にこだわるあまり、かえって親子ともに苦しむことになります。

介護は「チーム」で行う時代へ
私たちは、介護サービスを活用することを“親を他人に任せる”こととは考えません。
むしろ、介護の専門職の方々と一緒に「チーム」として親の介護に向き合うことが、今の時代の新しい親孝行の形だと考えています。

私自身が介護職に伝えてきたのは、「あなたたちは家族の代わり、家族の一部である」という考え方です。
つまり、第一の家族(ファーストファミリー)と第二の家族(セカンドファミリー)が連携し合ってこそ、本当の意味での介護が成り立つのです。

老人ホームは“託老所”ではない
日本では、老人ホームを「親を預ける場所」として捉える傾向がありますが、それは誤解です。
老人ホームは、高齢者が「生活する場」であり、決して「置いていく場所」ではありません。

同居できる人もいれば、遠く離れて暮らす人もいます。親を呼び寄せて一緒に暮らす人もいます。
介護の形は一つではありません。
しかし、どの形を選んでも、親と子の関係は切り離せません。

その関係性のなかで、国家資格を持つ介護士や専門家に「家族の役割の共有する」という選択が、自然になっていくべきだと私は思っています。

中国との対話から見えた「親孝行」の国際的視点
最近、中国の方と意見交換をする機会がありました。中国では“孝”の精神が強く、老人ホームに親を入れることは「親不孝」だと考えられているそうです。

そのため、どんなに苦しくても在宅介護にこだわり、結果的に自分の生活や健康を犠牲にしてしまうケースが多くあるという話を聞きました。

これは過去の日本とも似ています。
しかし日本は、認知症の広がりを機に、施設介護の必要性が社会的に受け入れられるようになった歴史があります。

認知症とともに生きる社会へ
認知症は「諦めること」ではありません。
むしろ「認知症になっても、自分らしく生きる方法を共に考え、支える社会づくり」が必要です。

認知症高齢者が在宅生活を続けることが難しくなったとき、家族がすべてを抱え込むのではなく、専門職にバトンを渡す。
その決断は“親を否定すること”ではなく、
“親の人生を支える新たな親孝行”だと思います。

親孝行とは「任せる覚悟」


サービスがあるにも関わらず、「全部やってあげることが親孝行だ」と思い込むあまり、できることまで介護職に求めてしまう。
結果として、子どもも疲弊し、親も苦しむことになる。

私たちは、そんな現場を何度も見てきました。
そして、兄弟姉妹が介護を巡って争う姿を見て、悲しんでいる認知症高齢者の姿も数多く知っています。

ですから私は声を大にして言いたいのです。

「親孝行とは、何でも自分でやることではありません。離れて暮らしていても、親の人生を尊重し、必要なところは専門家に任せる。それが、これからの時代における“覚悟ある親孝行”です。」

認知症介護教育とWell-Kaigoの取り組み
私が提唱する「認知症介護教育プログラム」は、まさにこの“親孝行の再定義”を軸に作られています。

「認知症は諦めない」

というメッセージのもと、本人が自分らしく生きていく支援をどうつくっていくかを中心に据えています。

そしてその取り組みを、いま中国の皆さんとも共有しようとしています。

翻訳の壁や文化の違いはありますが、高齢社会を迎える国として共に学び合うステージに来ていると感じています。

親孝行とは、愛をもって“手放す”勇気と、“任せる”信頼を持つこと。

これからの社会にふさわしい親孝行のかたちを、私たち一人ひとりが見つけていくことが、超高齢社会への一歩になるのではないでしょうか。

↓↓↓詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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