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【Well-Kaigo】ロボット事情/出発点は常に「人」

【末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
文末附有中文、泰文和英文翻译
ส่วนท้ายมีการแปลเป็นภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษ
Translations in Chinese, Thai, and English are provided at the end.

介護ロボットの最前線に立って思うこと ~出発点は常に「人」~
今回は「介護ロボット事情」と題して、現場で感じたことや、日々の対話の中から見えてきたロボットと介護の関係についてお話したいと思います。

先日、知人の紹介で、ロボットを扱っている企業を訪問してきました。
その企業は介護専門ではありませんが、日本の技術を活かしながら、ロボットの開発・導入を進めている会社です。
特に今回は「お掃除ロボット」のデモンストレーションを拝見しました。

最近、介護分野で「ロボット」の話題が急増しています。
とりわけ中国の方々と会話をすると、ほぼ確実に「スマート介護」や「AI技術」についての話になります。

それだけ注目されている分野であることを改めて実感しています。

中国では、ホテルやショッピングセンターに普通にロボットが導入されており、
エレベーターに乗って廊下を掃除するロボットは、もはや珍しい光景ではありません。
しかし、それをそのまま日本の介護施設に当てはめることができるのでしょうか。

例えば、日本の介護施設を訪れたいという中国の方の希望がありました。
しかし、「最新のロボットが導入されている施設」というのは意外と少なく、私の知る限りでは、あまり具体的な場所を紹介することができませんでした。

もちろん、ロボット導入の目的として「人手不足の解消」は重要な要素です。
しかし、単にロボットがいるからといって、それが介護の質の向上につながるとは限りません。
たとえば、お掃除ロボットが床掃除はできても、窓拭きやゴミの回収、テーブル拭きまではできません。結局、人の手が必要になるのです。

さらに、音の問題もあります。
モーター音が大きいため、夜間の使用には適さないケースもあります。
現場での運用を考えると、導入前にしっかりとしたシミュレーションが必要です。

ロボット技術自体は進化しています。中国企業は特に積極的で、「とりあえず作ってみる」精神が強く、技術や意欲に満ちています。ただし、肝心の「ニーズの把握」が弱いと感じます。つまり、「誰の、どんな困りごとを解決するために作るのか?」という視点が抜け落ちているのです。

私が見せられた一例に、「ベッドに寝たままシャンプーをしてくれるロボット」がありました。
これが病院であれば有効かもしれませんが、介護施設では入浴設備が整っている場合が多く、寝たきりの方も減少しています。つまり、現場ニーズに合っていない可能性があるのです。

ロボットを導入するということは、単なる機械を増やすという意味ではありません。
それに伴って、職員の業務内容が変わり、役割分担やマニュアル、就業規則、給与体系まで変わる可能性があります。ロボットを「使いこなせるかどうか」が最も重要な課題なのです。

実際に、リフトや車椅子、モーターベッドなど、過去に導入された機器も、活用されるかどうかは現場次第でした。
ロボットの力で「介護の快適性」や「働く人の安心感」をどれだけ実現できるのか――そこにこそ価値があります。

そして、ロボット導入の是非を考えるとき、常に出発点は「人」でなければなりません。
高齢者の不安、職員のストレス、日々の業務の中にある工夫や感情、そうしたものを理解せずに技術だけが進んでも、それは空回りに終わります。

「何を解決したいのか?」「誰のためのロボットなのか?」という問いに真摯に向き合うことが、介護現場にロボットを定着させる第一歩です。

国も、生産性向上の観点からロボット導入を支援する方向性を示しています。
しかし、「掃除ロボットを入れましょう」という単純な話ではなく、「どうすれば介護の質が上がるのか」を軸に考えなければなりません。

最後に、私たちはロボットに夢を描くこともできますが、それ以上に「今あるものをどう使いこなすか」が問われているのだと思います。
必要なのは、未来を見据えながらも、現場に根差したリアルな視点です。

さて、今夜21時からは「ウェルエイジング・タイ・ライブ」を開催します。滋賀県で働く介護人材ベルさんをゲストに迎え、日本の介護現場での外国人ならぬ“偉人”の悩みや気づきを共有します。ロボットの話題とも繋がるテーマですので、ぜひご参加ください。

それでは、今日も良い一日をお過ごしください。

↓↓↓詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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