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【Well-Kaigo】認知症を諦めない者が未来をつくる3ポイント

認知症を諦めない者が未来をつくる───Well-Kaigoからの3つのメッセージ

今日は「認知症を諦めない者が未来をつくる」というテーマでお話しした内容を、少しわかりやすくまとめてお伝えしたいと思います。

今回の対談相手は、田村武晴さん/日本ウエルエージング協会理事・おうちデイ新聞発行責任者

翻訳に潜む“ズレ”が意味するもの
私がいま取り組んでいるのは、中国向けの「認知症介護教育プログラム」の制作です。パワーポイントで約300ページ、日本語でのスクリプトとともに、中国語訳を進めていますが、そこで気づいたのが“言葉の違い”でした。

たとえば「認知症高齢者」という表現が、AI翻訳によって自動的に「認知症患者」と訳される場面があります。これに強い違和感を覚えました。

「患者」という言葉は、病院で治療を受ける人のこと。
私たちが日常的に接している認知症の方々を、そのような枠に当てはめてしまうのは、あまりにも一面的です。
認知症は“その人”の人生の一部であり、単に「治療対象」ではありません。だからこそ「認知症高齢者」と呼ぶことに意味があるのです。

AIが学ぶ“ケア”と“介護”の違い
さらにもう一つ、言葉のズレを感じるのが「ケア」と「介護」の違いです。
英語圏では“care”が一般的ですが、私たちは日本の歴史や文化を背負った「介護」という言葉に重みを感じています。

AIが自動的に翻訳する中でも、少しずつ「この人は“ウェル介護”という造語を使っている」と学習してくれるようになりました。それが分かったとき、AIも文脈を読むのだなと驚かされました。

「Well-Kaigo」という言葉には、日本語の「介護」の意味と、前向きで希望ある「Well-being」と「Well-Aging」のニュアンスを重ねています。
ただの“ケア”ではない、日本発の介護のあり方を伝えていきたいという願いが込められているのです。

「認知症を学ぶことが国の豊かさにつながる」──3つの理由
このような取り組みのなかで、私が強く伝えたいと思っているのが、「認知症を諦めないことが、国の未来を変える」という信念です。

認知症を学ぶことは、単なる知識の習得にとどまりません。
そこには、国全体のあり方や人の尊厳、社会の成熟度が問われていると感じます。そこで私は、次の3つのポイントにまとめてみました。

① 人を大切にする文化が育つ
認知症の方をどう支えるか。その問いに向き合うことは、単に“介護”の問題ではなく、「人を人として大切にする文化」を育てることにつながります。

② 人材の質が向上し、経済も支えられる
認知症介護の現場で働く人々は、単なる作業者ではありません。思考し、対話し、支え合うプロフェッショナルです。そうした人材が育てば、地域経済や社会全体の底力にもなります。

③ 社会全体の幸福度が上がる
誰もが老いに向かうなかで、「認知症になっても安心して暮らせる社会」は、すべての人の心を安定させ、社会の幸福度を高めます。

これら3つの視点は、私が1,000ページを超える認知症教育プログラムをつくる中で、何度も繰り返し立ち戻った本質的なテーマです。

「その人とは誰か?」という問いから始める
認知症介護では、「なぜこの人は怒ったのか?」「なぜ笑わないのか?」という“行動”に注目することが多いです。でも、その前に「この人はどんな人だったのか?」という問いが何よりも大切です。

記憶や感情、人生の背景──それらを深掘りしていくことは、単なる“支援”を超えて「人を探求する旅」に他なりません。そこにあるのは、知識でもスキルでもない、「思いやり」や「配慮」という人間の根源的な力です。

そして、国の品格へ
私たちが認知症を学ぶことは、結果として社会の人間力を高め、地域を活性化させ、国家の品格をも育てます。認知症の人を大切にする国は、世界から信頼される国へと変わるはずです。

だから私は言いたいのです。

「認知症を諦めない者が、未来をつくる」

この言葉が、教育プログラムの出発点であり、最終的に私たちが伝えたいメッセージです。
そしてそれは、日本がこれまで積み上げてきた高齢社会の知恵として、アジア各国へ伝えていくべき価値ある学びだと確信しています。

↓↓↓詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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