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【Well-Kaigo】認知症高齢者10%が暮らすまちになる

【末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
文末附有中文、泰文和英文翻译
ส่วนท้ายมีการแปลเป็นภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษ
Translations in Chinese, Thai, and English are provided at the end.

「認知症高齢者が10%を超えるまち」に私たちはどう備えるべきか?

今回は「認知症高齢者が10%を超えるまちになる」というテーマで、これからの社会について一緒に考えていきたいと思います。

現在、日本の総人口は約1億2,000万人。そのうち、認知症の診断を受けている高齢者は約600万〜800万人、軽度認知障害(MCI)を含めると1,000万〜1,200万人に達すると見込まれています。

これは全体の約10%に相当する数字です。さらに、今後人口が減少する中で寿命が延び、認知症の方が増えるスピードの方が早まることが予想されています。

つまり、私たちは「認知症にならないように」と備えるだけでなく、「認知症になったとしても、その人らしく暮らせる社会とは何か?」を真剣に考える段階にきているのです。

10%が社会を変える「スイッチ」
社会の大きな変化には、「10%を超えるかどうか」がひとつの指標になると言われています。

たとえば、スマートフォンが普及し始めたときも、普及率が10%を超えた頃から一気に主流となりました。

同様に、認知症高齢者が10%を超えるというのは、「少数派」から「多数派」への移行を意味する重要なサインです。この変化にどう対応するかで、社会の在り方そのものが問われてきます。

グループホームの考え方から「まち全体がグループホーム」へ
認知症高齢者のための施設として代表的なのが、グループホームです。

一般的には、1ユニット9人という小規模な単位で共同生活を行うスタイルですが、これからは「街そのものがグループホームのようになる」社会を見据える必要があります。

これまでのように、認知症の方を「特別な場所」に集めてケアを提供するスタイルから、地域の中で自然に共に暮らすスタイルへの転換が求められているのです。

認知症の方と共に「生きる」から、共に「社会をつくる」へ
2040年、2050年には高齢化率が約38%に達すると予想されています。

そして、その中の約10%が認知症の方。すでにその時代の入り口に、私たちは立っているのです。

このとき大切なのは、「認知症=支援が必要な人」という視点だけではなく、「認知症であっても、何かしら社会に貢献できる存在」として捉えることです。

たとえば、あるデイサービスでは、認知症高齢者が自分の役割を持ち、地域や施設の中で仕事をする取り組みが始まっています。支援を受けるだけでなく、「支える側」にもなれる。そんな社会が現実になりつつあるのです。

「備える」から「生かす」へ──Well-Kaigo=ウエル介護の視点
私たちは、「認知症にならないように備える」時代から、「認知症になったとしても、それをどう生かすか」という視点に転換していく必要があります。

ADL(日常生活動作)、IADL(手段的日常生活動作)、そしてSADL(社会的生活動作)といった視点で、高齢者の生活を支えることはもちろん、認知症という状態を“病気”としてだけではなく、“生き方の一部”として受け止めていく社会が必要なのです。

都市のあり方も変わる──これからの老人ホーム像
これからの時代、郊外に大型で建てられた老人ホームは、次第に求められなくなるでしょう。なぜなら、人口が減ると同時に、より街の中で高齢者が暮らすニーズが高まってくるからです。

つまり、今後は都市や住宅街の中に溶け込むような、小規模で認知症にやさしい住環境が求められます。そのためには、建物のリノベーションや制度の見直し、そして何よりも社会全体の意識改革が欠かせません。

認知症介護教育の必要性と未来
私は現在、認知症介護の教育プログラムを作成中です。
すでにスライドは300ページを超え、内容はA4で1,000ページを超えています。それほど認知症というテーマは幅広く、そして複雑なのです。

なぜそこまで厚くなるかといえば、一人ひとりのケースが違うからです。認知症の進行具合、性格、家族との関係、住環境…そのどれもが異なる中で、私たちは一律のマニュアルではなく、「個別の理解」に基づいた対応が求められています。

ウエル介護=Well-Kaigoという新しい価値観へ
私は、「認知症高齢者10%の社会」に向けて、「ウエル介護(Well-Kaigo)」という価値観を提案しています。

これは、「年を重ねること=ウェルエイジング」の中に、介護の視点を自然に組み込んでいくという考え方です。つまり、「介護が必要な状態になっても、誰もがその人らしく生きられる社会をつくること」がウエル介護の目指す姿です。

今後、認知症は「特別なこと」ではなく、「誰にでも起こりうること」として社会に浸透していきます。そのときに、私たちは何を準備し、どのような社会をつくっていくのか──。

それは未来の話ではなく、「確定された未来への対応」として、今ここから始めるべきことなのです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
認知症高齢者10%の社会をどう生き、どうつくっていくのか。
このテーマは、まさに私たち一人ひとりの人生に深く関わる問題です。
次回も、共に考えてまいりましょう。

↓↓↓詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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