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【Well-Aging】再び、福祉はまちづくり

【末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
文末附有中文、泰文和英文翻译
ส่วนท้ายมีการแปลเป็นภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษ
Translations in Chinese, Thai, and English are provided at the end.


今回のテーマは、「再び福祉はまちづくり」。
高齢社会を迎える日本、そしてこれから高齢化が進む海外諸国にとっても、福祉と都市づくりをどう結びつけるかは重要な課題です。

福祉と都市計画は切り離せない
私はもともと建設会社や住宅供給会社に勤務しており、都市計画や建築基準法に深く関わってきました。福祉や介護も、都市のインフラの一部として計画的に整備されるべきだと考えています。

介護施設やサービスは単なる福祉事業ではなく、都市全体の供給計画の中に組み込まれています。
例えば、特別養護老人ホーム(特養)がすでに存在する地域に、新たに同種の施設を設けることが適切かどうかは、都市計画に基づいて判断されるべきです。

福祉=まちづくりという視点
「福祉はまちづくり」という言葉は1990年代の日本の地域福祉の文脈から生まれた概念で、近年は「地域共生社会」や「包括的支援体制」の中でも再注目されています。単なる介護の提供にとどまらず、住民一人ひとりの生活環境を整えること、それが福祉の本質であり、まちづくりそのものなのです。

公園も避難所、街全体がインフラ


私が今いる隅田川沿いの公園は、実は災害時の調整池の役割も担っています。普段は子どもたちが遊び、サッカーの練習をする場ですが、大雨時には街を守る「防災インフラ」に変わります。都市計画とは、こうした多機能をもった構造の集合体です。

介護施設でも同じことが言えます。
建物が立てられるには、雨水処理能力、水道・電気の引き込み計画、防災対応など、多岐にわたるインフラの整備が求められます。
そしてその一部として、高齢者住宅や介護拠点も都市計画に組み込まれていくのです。

介護施設とサービスの役割
介護保険制度では、介護が必要になった方がどこに住んでいてもサービスを受けられるようになっています。そのため、都市計画の中で介護施設の配置やサービス提供のバランスが保たれています。

ただし、現在の日本において、介護施設に入居している高齢者は全体の約2.6%にとどまっています。ほとんどの高齢者は自宅で暮らしており、在宅サービスが全体の約60%、施設サービスが約20%、地域密着型サービスが20%という構成になっています。

サ高住の現状とその誤解
全国で登録されているサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、2024年時点で約10,000棟、28万戸あり、約25万人の高齢者が入居しています。しかし、これは全高齢者の0.7%にすぎません。

サ高住は「サービス付き」と言っても介護サービスが常駐しているわけではなく、見守りと生活相談というソフトなサービスが中心です。
多くの人が「介護付き」と誤解しがちですが、実際には外部の訪問介護や通所サービスと連携する形で支援を受けています。

BCPと災害への備えとしての施設
もう一つ重要な視点は、災害時の事業継続計画(BCP)です。福祉はまちづくりであり、災害は地域全体に影響を与えるため、介護施設もBCPを策定することが義務化されています。
これは、単なる施設内の問題ではなく、「地域のインフラ」として介護施設がどのような役割を果たすかという視点です。

これから、ここから
今後は、都市部だけでなく農村地域における福祉の配置も議論されるべき課題です。高齢者が住み続けられる地域づくりには、医療・介護・交通・防災のすべてを含んだまちづくりが不可欠です。

私たちが目指すのは、介護施設を地域拠点とし、その中で人が生まれ、育ち、年を重ね、見送られる──そんな一連の「人生の風景」が地域に根ざしていく未来です。

「福祉はまちづくり」
それは単なるスローガンではなく、これからの高齢社会を生き抜くための指針です。地域のインフラとしての福祉を、再び見つめ直すときが来ています。

それを再び気付かさせてくれるのが、これから高齢社会を築いていくアジア諸国の歩みです。

↓↓↓詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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