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【尊厳Well-Kaigo】車椅子の選び方

【多言語ブログ/末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
【多语言博客/文末附有中文、泰文和英文翻译内容】
【บล็อกหลายภาษา/มีคำแปลภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษอยู่ท้ายบทความ】
【Multilingual Blog / Translations in Chinese, Thai, and English are included at the end of the article】


はじめに
皆さま、こんにちは。利久です。
本日のテーマは「車椅子の選び方」についてです。
日々の介護現場や在宅生活の中で、車椅子は単なる移動のための道具にとどまりません。座る姿勢を支え、生活の質を大きく左右する重要な存在です。今日はその基本的な考え方から具体的な機能、そして生活全体への影響までを整理してみたいと思います。

歩くことと車椅子の併用
高齢者や身体に不自由がある方にとって「自分の足で歩き続けたい」という願いは非常に大きなものです。しかし、トイレに行くだけでも時間がかかる場合や、歩行に強い負担がかかる場合があります。そのとき、杖や歩行器だけではなく、車椅子を選択肢に加えることで生活のプランが広がります。
「歩くことを諦めない」と同時に「車椅子をうまく使う」ことこそ、尊厳を守る生活の工夫だといえるのです。

車椅子の基本機能と姿勢保持
車椅子は移動のための道具であると同時に、「座る」という行為を支える道具でもあります。座ったときに姿勢が崩れると、食事や会話、さらには安全な嚥下にも悪影響を及ぼします。そのため重要になるのがシーティング(姿勢保持)の考え方です。
具体的には、以下のような機能が注目されます。

低座面型:特に小柄な方に有効で、足裏が床にしっかりつくことで安定感が得られます。
適切な座幅:広すぎず、身体に合ったサイズを選ぶことで姿勢保持が容易になります。
背当てベルトの調整機能:前方で拘束するのではなく、背部の支えを微調整して立位時に近い姿勢を作り出します。
アームレストの着脱:ベッドへの移乗や洗面所での使用など、生活の場面に合わせて外すことができると自立度が高まります。
車軸位置の調整:重心を少し後方へずらすと安定性が増し、前方へずらすと移動がしやすくなります。


車椅子がもたらす生活の変化
正しく選ばれた車椅子は、日常生活の多くの場面に影響を与えます。
例えばダイニングテーブルに着いたとき、座面の高さや姿勢保持が適切であれば、自分で食事を楽しむことができます。洗面台の高さが合えば、顔を洗ったり歯を磨いたりする動作も自立的に行えます。

在宅生活においても同様です。車椅子に合わせた住宅改修を行えば、段差を乗り越え、自宅で安心して過ごすことができます。その結果、介護者の負担が軽減され、本人の自立度も高まるのです。

目線とコミュニケーション
車椅子を使用することで、利用者の目線は自然と下がります。すると介護士や家族は、意識的にさらに低い位置で会話をする必要が出てきます。目線が合うことは尊厳を守る大切なポイントです。姿勢保持が安定していれば、相手と向き合って自然に会話ができ、コミュニケーションの質も向上します。

個別対応と調整の重要性
施設に常備されている折りたたみ型の車椅子は汎用性が高い一方で、必ずしも個人に合っているとは限りません。状態に合わせて微調整が必要になります。そのためには、理学療法士などの専門職がシーティングの知識を持ち、定期的に調整を行うことが大切です。

かつて、私が施設長を務めていたユニット型特別養護老人ホームでは、理学療法士を中心に車椅子の勉強会を開き、スタッフ全体で知識を共有しました。その結果、入居者の7割以上が自分に合った車椅子を使用できる環境を整えることができました。これにより、介護士の負担軽減と利用者の自立支援の両立が実現したのです。

車椅子選びが生活を変える
公的施設や商業施設に置かれた車椅子は一時的に使うためのものですが、生活の場で使う車椅子はそうはいきません。
ベッドやセンサー機器と連動することも増えている現代において、車椅子が合わないと他の機能が十分に生かせなくなります。つまり、車椅子は生活の基盤を支える要なのです。

さらに、正しい車椅子に座った瞬間から効果が現れます。意欲が湧き、行動が変わり、結果として生活全体が変わるのです。これは数か月先ではなく、座ったその日から始まる変化です。

経済的な視点と投資効果
確かに、個別に合わせた車椅子は一般的なものに比べて高額になることがあります。しかし、利用者の自立が進み、介護負担が減り、在宅生活が長く続けられるとしたら、それは大きな投資効果といえるでしょう。私は車椅子こそ投資する価値のある道具だと考えています。

これから、ここから
車椅子は単なる移動のための道具ではなく、生活全体を支える基盤です。歩行と両立しながら上手に活用することで、利用者本人の尊厳が守られ、介護者や家族の負担も軽減されます。介護に関わる方、介護教育を学ぶ方にとって、車椅子の選び方は欠かすことのできないテーマです。

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