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【尊厳Well-Kaigo】自助具と補助具の選び方

【多言語ブログ/末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
【多语言博客/文末附有中文、泰文和英文翻译内容】
【บล็อกหลายภาษา/มีคำแปลภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษอยู่ท้ายบทความ】
【Multilingual Blog / Translations in Chinese, Thai, and English are included at the end of the article】


はじめに
皆さま、こんにちは。利久です。
本日のテーマは「自助具と補助具の選び方」です。
私は日々、介護の現場や海外との交流を通じて、道具の選び方ひとつで介護の質や暮らしの満足度が大きく変わることを実感しています。
今回はその経験をもとに、「自助具」と「補助具」という視点から考えてみたいと思います。

福祉用具から「自助具」と「補助具」へ


日本では「福祉用具」という総称でさまざまな道具を指しますが、私はあえて「自助具」「補助具」という言葉を使ってきました。

自助具:高齢者本人の自立を支える道具
例)眼鏡、スプーン、歩行器など

補助具:介護を行う人の仕事を助ける道具
例)リフト、手すり、特殊ベッドなど

この区別をすることで「誰にとって、どのように役立つ道具なのか」が明確になり、説明もしやすくなります。北欧のデンマークでは「テクノエイド」という言葉が使われており、日本でも同様の考え方が広がりつつあります。

オムツも立派な「自助具」・「補助具」
「オムツ」というとネガティブなイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし視点を変えると、オムツは大切な自助具・補助具になります。

例えば、排泄の不安があることで外出を控えてしまう高齢者が、オムツを使用することで安心して外出できるなら、それは立派な自助具です。
また、介護者にとってもオムツは排泄介助を補助する重要な道具になります。単なる「処理のための製品」ではなく、「生活の質を守るための道具」と捉えることで、選び方や使い方も大きく変わります。

道具選びが介護経営にも影響する
安価なオムツを大量に購入すれば効率的に見えますが、実際には介護の手間が増え、結果的にコストがかさむ場合があります。

一方で、高齢者の自立支援に適したオムツを選ぶと、排泄の安定や外出機会の増加につながり、介護者の負担も軽減されます。つまり、道具選びは高齢者の生活だけでなく、介護経営の収支にも直結する「投資」なのです。

車椅子から考える「選び方」の本質
車椅子は代表的な福祉用具ですが、その役割を「座ること」「移動すること」と整理すると、選び方の重要性が見えてきます。

施設では折り畳み式の車椅子が一般的ですが、それが必ずしも本人に合うとは限りません。姿勢が崩れれば介護者の手間は増し、本人も不快になります。そこで私は、入居後に個々の状態に合わせて7~8割の利用者に自費で専用車椅子を導入してきました。

適切な車椅子を選ぶことで、食事や会話、自装(自分での移動や行為)が可能となり、生活の質が劇的に変わります。これは補助具・自助具の選び方の本質を示す好例です。

ベッドや住環境との連動
車椅子とベッドの高さや形状が合わなければ、自力での移乗は困難になります。また、洗面台やダイニングテーブルの高さとのバランスも重要です。

座面の高さが数センチ違うだけで「自分で顔を洗えるか」「食事ができるか」が左右されます。つまり、道具単体ではなく、住環境や設備との組み合わせが暮らしの自立を左右するのです。

道具は「尊厳」を守るための存在
介護の現場では効率だけを優先しがちですが、尊厳ある介護を実現するためには「その人の選択や自立を支える道具」として捉えることが欠かせません。

高齢者本人にとっての「自助具」
介護者にとっての「補助具」
この2つの視点を常に意識して選ぶことで、介護は作業から「生活を支える営み」へと変わります。さらに、その積み重ねが介護経営を安定させ、職員のやりがいにもつながるのです。

AIや介護ロボットとのつながり
近年は介護ロボットやAIの活用も進んでいますが、その土台には「自助具・補助具の考え方」があります。人間の体と心を理解し、個別の違いに合わせて道具を選ぶ姿勢があってこそ、ロボットやAIを有効に活用できるのです。

つまり、自助具・補助具の選び方を深く理解することは、これからの介護の未来を切り拓く基礎になるといえるでしょう。

これから、ここから
自助具や補助具は、単なる便利グッズではなく、「生活の質」「介護の質」「介護経営」に直結する重要な要素です。車椅子やオムツといった身近な道具であっても、選び方次第で本人の尊厳、介護者の負担、施設全体の在り方までも変えてしまいます。

これから介護を担う方々には、ぜひ「誰のための道具か」「どうすれば尊厳を守れるか」という視点を持って選んでいただきたいと思います。

ご質問は本サイトの「お問い合わせ欄」からお気軽にお寄せください。

↓↓↓詳細は音声配信Podcastから「ながら聴取」をしてください。

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