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【尊厳Well-Kaigo】介護の入り口は認知症である理由

【多言語ブログ/末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
【多语言博客/文末附有中文、泰文和英文翻译内容】
【บล็อกหลายภาษา/มีคำแปลภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษอยู่ท้ายบทความ】
【Multilingual Blog / Translations in Chinese, Thai, and English are included at the end of the article】

はじめに:なぜ認知症が介護の出発点なのか
ウエルエイジング・アワー対談版
(対談者)田村武晴/日本ウエルエージング協会理事・おうちデイ新聞発行責任者

私たちは介護を語るとき、どうしても「身体的な衰え」や「生活の支援」といった面に注目しがちです。

しかし、今日のテーマはそこから一歩踏み込み、「なぜ介護の入り口は“認知症”なのか?」という視点から考えてみたいと思います。
これは、現場の実感から導き出された本質的な問いです。

認知症を学ぶことが、高齢者を理解する第一歩

もちろん、すべての高齢者が認知症になるわけではありません。それでも、介護現場に長く関わってきた私たちは、「認知症を理解すること」が、脳の働きや高齢者の行動理解、そして本人の尊厳を守るケアの基盤になることを強く感じています。

怒り、不安、拒否、無表情——こうした行動の背景には、脳の変化が隠れています。それを「わがまま」や「困った人」と捉えるのではなく、「脳のSOS」として受け止め、支える視点が必要です。

田村さんとの対話:身体と心の両面からの視点

柔道整復師として介護予防型のデイサービスに携わってきた田村武晴さんは、身体機能の回復や維持の専門家です。しかし、田村さんも「認知症を理解しないと、未来への不安だけが残る」と言います。身体と脳は常に連動しています。認知症を切り離しては介護の全体像は見えてきません。

認知症対応デイサービスと一般型デイサービスの違い

私がかつて運営していた施設では、一般型と認知症対応型の2つのデイサービスを同一施設内で運営していました。送迎車は同じでも、建物内ではサービスが完全に分離され、認知症の方には専門の教育を受けたスタッフが対応する体制が整えられています。これは制度上の配置基準でも義務づけられています。

認知症対応が標準になる時代へ

高齢社会が進む中で、「認知症は特別なもの」ではなく「当たり前に起こること」として捉える必要があります。だからこそ、介護の入り口に「認知症」を据え、教育やサービス体制を整えることが重要なのです。

海外の視点から:マレーシアと中国の違い

私は近年、中国やマレーシアの介護関係者とも交流を深めています。印象的なのは、マレーシアでは最初から「認知症を学びたい」という意欲が強いのに対し、中国ではまだ十分に認知症がテーマとして認識されていないケースも見られるという点です。

それでも、どの国でも共通して言えるのは、「認知症を理解することが高齢者を理解することにつながる」ということです。

教育と現場の連携:経験をどう活かすか

日本の認知症介護の強みは、「事例の蓄積と共有」にあります。介護技術や知識だけでなく、「どう対応したか」「どうすればうまくいったか」という経験の共有が、次の実践に活かされていくのです。

それは単なる知識の伝達ではなく、ケアマネジメントやチームアプローチの質を高める鍵となります。

認知症介護の楽しさとやりがい

介護現場では、「大変そう」と思われがちな認知症介護ですが、実はやりがいのある領域です。なぜなら、行動の背景を理解し、適切なアプローチを行うことで、利用者の状態が改善したり、笑顔が戻ったりすることがあるからです。

その変化に立ち会えることこそが、認知症ケアに携わる者にとっての大きな喜びであり、達成感です。

専門職の価値を高めるために

医師や看護師、柔道整復師などの専門職が、認知症の理解を深めることで、自らの専門性をさらに活かすことができます。「自分の専門だけでは足りない」というのではなく、「認知症という視点を重ねることで、より広く・深く対応できるようになる」という発想です。

まとめ:これから、ここから

「介護の入り口は認知症である」という言葉は、私たちの経験から生まれた実感です。今後、日本だけでなく、アジア全体でこの視点が広がっていくことを願っています。

そして、認知症介護を特別なものとしてではなく、介護の“標準”として捉える文化が育っていくことを期待しています。

↓↓↓詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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