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【尊厳Well-Kaigo】武士道から引き継ぐ介護

【多言語ブログ/末尾に中国語、タイ語、英語の翻訳文を挿入しております】
【多语言博客/文末附有中文、泰文和英文翻译内容】
【บล็อกหลายภาษา/มีคำแปลภาษาจีน ภาษาไทย และภาษาอังกฤษอยู่ท้ายบทความ】
【Multilingual Blog / Translations in Chinese, Thai, and English are included at the end of the article】


〜日本の精神文化が介護に息づくとき〜

新渡戸稲造のメッセージ

「武士道」とは何か?

それは、明治時代の思想家と呼んでいいのではないかと思う新渡戸稲造が著した
『武士道(The Soul of Japan)』
により、世界に紹介された日本人の精神的支柱です。
「義」「忠」「礼」「恥」など、日本人の行動や判断の基盤となる価値観が詰まっています。これは宗教ではなく、精神文化であり、私たち日本人が無意識のうちに受け継いでいる“生き方の型”とも言えます。

名前に込めた思いと精神的な出会い
出演者の田村武晴さんは、高校時代に新渡戸の『武士道』を読み、目に見えない「強さ」に憧れを抱いたと語ります。ご自身の名前「武春」に込められた「武」の文字と重ね合わせ、精神的な強さや誇りを自らの内に育んでいった体験が印象的です。

また、私・小川利久さんは、自らのニックネーム「利久(りきゅう)」に込められた思いを語ります。「利を休める」利休とは対照的に、「利を持ち続ける」ことに意味を込めた名であり、武士道との精神的な接続を感じながら今に至っています。

武士道と尊厳介護の共通点
武士道には、「恥をかかせない」「礼を尽くす」「忠を貫く」といった価値観があります。
これらはまさに、尊厳介護の根幹といえるものです。介護の現場で求められる「その人らしさを尊重する姿勢」は、武士道の精神に深く通じています。

現代社会では、「介護は辛い・大変」という印象が根強いですが、現場で真摯に働くスタッフの中には、精神的にとても安定した人が多いことも事実です。
これは武士道的な「静けさ」「覚悟」「立ち居振る舞い」が、介護に活かされている証かもしれません。

成田空港の掃除スタッフに宿る“武士道”
印象的だったのは、ある外国人が成田空港で清掃スタッフの立ち居振る舞いに感動し、「日本の精神性を感じた」と語ったエピソードです。
誰かに教えられたわけではなく、自然と身についた「姿勢」「目線」「気配り」こそが、武士道の現代的な表現であり、それが介護の現場にも息づいています。

海外との比較から見える「精神構造」の違い
日本と他国を比較すると、文化や習慣の違いが浮かび上がります。例えば、中国やフィリピンに行くと、その国ならではの「温かさ」や「無関心」など、国民性が空港に現れています。一方で、日本の介護や接客には、言葉にしなくても感じられる「配慮」があります。

これは、日本人が無意識のうちに持っている精神構造、つまり「他者を思いやる姿勢」や「恥をかかせない行動」が反映されているのだと思います。

脳波で見る介護職の“心地よさ”
脳科学の分野では、介護職の人々が持つ脳波が「心地よい状態」にあることが示されています。これは、ただ作業をしているのではなく、「意味を持って行動している」からだと考えられます。

つまり、「理念に基づいた行動」が心身に良い影響を与えており、それが介護の質を高めているのです。この理念の背景には、やはり武士道のような日本独自の精神文化があるといえるでしょう。

教育や関係性も「武士道的」に
武道においても介護においても、相手との関係性がとても大切です。剣道の世界では、相手の呼吸や瞬きに合わせて技を繰り出すと言います。これは、まさに“気配を読む力”。
介護においても、利用者の心身の状態や表情を読み取り、最適な対応をすることが求められます。

また、「教えすぎない」「相手の力を活かす」という姿勢も共通しています。これは「自立支援介護」において特に重要であり、柔道や合気道の“受け”にも通じる概念です。

日本から世界へ、そして再び日本へ
最近では、尊厳介護を学びに日本を訪れる海外の方も増えてきました。特に中国では、日本の精神文化に興味を持ち、熱心に学ぼうとする人たちがいます。

その一方で、「尊厳介護は中国にはまだ難しいかもしれない」という声も聞こえてきます。ですが、それこそが挑戦の始まりです。理念や文化を丁寧に伝えていくことが、次の時代の架け橋になります。

これから、ここから:理念が帰る場所をつくる
介護の現場で迷ったとき、私たちは何を基準に判断すべきでしょうか?その答えは、「理念」にあります。理念とは、自分が帰る場所であり、行動の軸を与えてくれるものです。

人に恥をかかせない、丁寧に接する、相手の立場で考える——これらはすべて、武士道の精神であり、尊厳ある介護の本質でもあります。たとえ技術が進化しても、そこに“心”がなければ本当のケアにはなりません。

今こそ、日本人が受け継いできた精神文化を、介護という実践を通じて世界に発信していく時です。

↓↓↓詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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