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【Well-Kaigo】家族介護の変化

【Well-Kaigo】家族介護の変化―親の介護を「委ねる覚悟へ」
今日は「家族介護の変化」というテーマで、日本と中国、そして親子関係の歴史や介護のあり方について一緒に考えてみたいと思います。

最近、私は中国の福祉関係者や社会福祉の大学の先生方と意見交換する機会が増えています。
高齢社会を迎えるにあたって、介護の制度設計や親子関係をどう捉えるかという議論が多く交わされています。その中で、どうしても避けて通れないと感じるのが「家族」という存在の捉え方です。

親子関係の歴史的背景
日本においても、親子の関係性は時代とともに変化してきました。
かつては“絶対的な服従”を伴う家父長制が主流であり、家族内の役割は固定的でした。
しかし、戦後を経て、介護の社会化や制度化が進む中で、親子のあり方にも変化が生まれました。

一方、中国には孔子・孟子の教えがあり、「孝」という考え方が今も強く根付いています。
親子関係の歴史や哲学が、各国の介護観に深く影響しているのです。

日本の介護保険が目指したもの
日本の介護保険制度は、2000年にスタートして以来、以下の3つの柱を持っています。

高齢者の人権・尊厳を守ること
家族の介護負担を軽減すること
社会的孤立の解消
この制度は、単なる福祉政策ではなく、社会全体で支え合う「共助」の思想に基づいています。
税金と保険料の双方を財源とし、介護を“家族の問題”から「社会の共有課題」へと転換する役割を果たしてきました。

中国における課題と現実
中国ではまだ公的な介護制度が整っておらず、介護は基本的に家族の責任とされています。
これは文化的背景もありますが、制度の未整備、介護サービスの不足、そして費用面の問題など、複合的な課題が横たわっています。

とくに「制度がない=すべてが自費」という構造は、介護を必要とする高齢者や家族にとって大きな壁です。
中国でも「共助」のような考え方が育っていくためには、まず“親子関係”という哲学的な根幹に踏み込む必要があるのではないかと感じています。

「任せる」から「委ねる」へ


介護を「家族が担うもの」とする価値観は、ある意味で限界を迎えています。
とくに認知症介護では、家族で抱え込むことが心身の負担となり、悲しい事件に至るケースもあります。
これは日本でも他人事ではありません。

そこで私が提案したいのは、“任せる”ではなく“委ねる”という考え方です。「任せる」にはどこか投げ出すような印象がありますが、「委ねる」は信頼に基づいて支援を託すという意味合いがあります。

誰に委ねるのか。それは、しっかりとした教育と実務経験を持った“専門家”です。
私はその専門家像を「生活支援マスター」と表現したいと思います。
家族が限界を感じた時、その想いを引き継いでくれるパートナーがいる。
それが委ねる介護の出発点だと思うのです。

受援力 × 支援力=未来の介護
日本ウエルエイジング協会の理事・町亞聖さんが書いた『受援力』という書籍を通じて、私は「受援力」と「支援力」という2つの力が未来の介護を形づくると確信しました。

家族がすべてを抱えるのではなく、受け取る力=「受援力」を身につけること。
そして、専門職が「支援力」をもってそれに応えること。
この2つが掛け合わさって初めて、持続可能な介護が生まれるのではないでしょうか。

これから、ここから―国境を越えた介護の再定義へ
私たちは今、アジア全体で高齢社会を迎えています。
日本だけでなく、中国や東南アジアでも同じ課題が起き始めています。
そうした中で、日本が歩んできた介護の制度設計や家族観を、他国と共有することは非常に意義あることだと思います。

家族介護の再定義は、日本自身の未来を照らすだけでなく、他国との共創に向けた大きなヒントにもなるのです。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

これから、ウエル・エイジング思想の下、Well-Kaigoの視点から、
「介護の再構築」を一緒に考えてまいりましょう。

↓↓↓詳細はPodcastから「ながら聴取」をしてください。

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